言い返せない悔しさを引きずらないために|強く言われた夜にできること

職場で、気の強い先輩に強い口調で言われたひと言。身に覚えのないミスなのに、まるであなたのせいのような言い方。

「違います」と言えばよかった。でもその場では言葉が出てこなくて、気づけば「すみません」と頭を下げていた。周りから見れば、まるで自分が悪かったみたいな空気になってしまった。

家に帰ってから、泣きたいくらい悔しい。お腹の底から、強い怒りが湧いてくる。

職場の人だけでなく、母親に勢いよく言われたときも、同じような悔しさが残ることがありますよね。

そんなふうに、言い返せない悔しさを引きずったまま、この記事を開いてくださったのではないでしょうか。

先にお伝えすると、言い返せない悔しさは、弱さではなく、あなたの芯がぶれていない証拠です。引きずらないためには、どんな軽んじられ方が悔しかったのかを言葉にして、まず自分が自分を理解してあげることが大切です。

この記事では、言い返せない悔しさを引きずらないための方法を先にお伝えし、そのあとで、その場でのあなたの力の活かし方を、カウンセリングの現場の様子も交えてお話しします。

言い返せない悔しさは、あなたの芯がぶれていない証拠

言い返せなかったとき、多くの方が「私が弱いから」「気が小さいから」と自分を責めます。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。

勢いよく言われると、相手が正しいような気がしてしまう

感情的に、勢いよく言われたとき。人は、相手のほうが正しいような気がしてしまうことがあります。

言っている中身が正しいかどうかより、声の大きさや強い口調のほうが、先に心に届いてしまう。そのせいで、「もしかして私が悪かったのかな」と、一瞬、自分の考えが見えなくなるのです。

腹が立つのは、自分の考えがちゃんとあったから

ところが、家に帰ってひと息つくと、悔しさが込み上げてくる。

もし本当にあなたの芯がぶれていたのなら、「言われたとおりだった」と納得して、悔しさは残らないはずです。

腹が立つのは、自分の考えがちゃんとあったから。悔しいのは、あなたの中に「それは違う」という芯があったからなのです。

言い返せなかったのは、芯がなかったからではありません。その場で、強い勢いに一瞬かき消されてしまっただけなのです。

言い返せない悔しさを引きずらないために

今まさにこの記事を読んでいるということは、悔しさがまだ心に残っている、ということですよね。

ですから先に、悔しさを引きずらないための方法からお伝えします。

「何が悔しかったのか」を自分に聞いてあげる

まずは、何が悔しかったのかを、自分に聞いてあげてください。

ポイントは、「あの人のどんな態度の中で、私はどんなふうに扱われたのか」つまり、どんな軽んじられ方をしたのが悔しかったのかをはっきりさせることです。

このとき、「濡れ衣を着せられた」という出来事だけで終わらせないでください。大切なのは事実ではなく、そのとき心の中で何が傷ついたのかという気持ちのほうです。

たとえば、こんなふうに。

  • 相手の知らない事情まで、たくさん気づかって動いていたのに、全部なかったことにされた
  • いつもいろいろ考えたうえで動いているのに、まるで考えなしの人のように、みんなに思われた気がする
  • こんなことで悔しがる自分まで「考えすぎ」と言われそうで、それがとても悲しい

漠然とした悔しさのままでは、なくそうとしても、なかなかなくせません。

それに、実際にどんな軽んじられ方をして悔しかったのかが、自分で自分に理解されていないと、心の内側は誰にも伝わらなかった、という感覚だけが残ってしまいます。

だからこそ、まず自分が自分を理解してあげることが大切なのです。

矢印が「もっと強くならなきゃ」から「痛みを分かってあげたい」へ変わる

言い返せなかったあと、悔しさの矢印は、たいてい自分に向いています。

「言い返せなかった自分の弱さが悔しい」「もっと強くならなきゃ」

ところが、どんな軽んじられ方をしたのかが分かってくると、その矢印の向きが変わり始めます。

自分を責めたり、もっと強くなろうとしたりするところから、「まず、自分の痛みを分かってあげたい」という気持ちへ。

この変化が、とても大事です。悔しさを引きずらない自分への、最初の一歩になります。

「悔しくて当たり前」と思えたとき、ほっとした涙が出ることもある

あんな扱いをされたのだから、「悔しくて当たり前だよね」。そう心から納得できたとき、不思議なことが起こります。

悔しさが、理解してもらえた喜びとして、体に表れることがあるのです。

自分で自分のことを言っているだけなのに、少しほっとする。カウンセリングの現場でも、そこで涙が出る方がいらっしゃいます。

実は私自身も、今でもしょっちゅうあります。「何が悔しかったのかな」と自分に聞いてあげながら言葉にしていくうちに、ちょっと安心して、涙が出てくるのです。

散歩やお風呂など、落ち着ける場所で言葉にする

この作業は、一人で悶々と考え込んでいるときより、外を歩いているときや、お風呂に入っているときのほうが進みやすいものです。ある程度落ち着いた、安全な空間のほうが、ほっとした涙も出やすいのですよね。

反対に、外からの刺激が多い場所では、どうしても大人の装いをした自分が前に出てきます。

「大人なんだから、そんなことでいちいち怒っていたらきりがないでしょ」。そうやって、自分に少し厳しくしつけるような感じになってしまうのです。すると、どんな悔しさがあったのかは、見過ごされたままになりがちです。

今夜、湯船につかりながら、あるいは少し遠回りして歩きながら、「何が悔しかったのかな」と、自分に聞いてみてください。

その場で言い返せないのは、あなたに受容力があるから

ここからは、その場でのことをお話しします。

強く言う人の下にある弱さに、気づいてしまっているのかもしれない

感情的に強く言ってくる人の下には、怖さや悲しさのようなものが隠れていることがあります。

あなたは、その正体まではわからなくても、相手の中にある何かネガティブな弱さに、気づいてしまっている。だから、言い返せなかったのかもしれませんね。

もしかすると、子どもの頃から、そうやって人の心の奥に気づいてきたのではないでしょうか。

勝つことが目的なら、同じ土俵で戦っていたはず

もし、あなたの目的が言い合いに勝つことだったら、どうでしょう。

勝つことが目的なら、実はあなたは感情のまま同じ土俵に立って戦っていたことでしょう。ここにあなたの受容力があり、その力を活かしながらくやしさを引きずらない自分へと、無理なく変わっていきましょう。

言い返せない悩みを持つ方が本当に望んでいるのは、喧嘩に勝つことではなく、その場で落ち着いて、相手の話を聞けるようになることではないでしょうか。

受容力を活かして、いったん相手の話を聞く

とっさに言い返せないのなら、その特性を活かして、いったん相手の話を聞いてみるほうが、あなたには合っているかもしれません。

もともと、相手の意図を冷静に引き出して、相手が落ち着いたときにはじめて、こちらの気持ちを伝えることができるものです。

勢いよく言われている最中に、無理に言い返そうとしなくて大丈夫です。相手が何を気にしているのか、何に困っているのかを聞いていくうちに、相手の勢いも少しずつ落ち着いてきます。

そうして聞き終えたあとなら、「私はこう考えていました」と伝えられる余地が生まれます。聞く側に回ったぶん、あとから悔しさが残りにくくなるのです。

我慢が積もって切れてしまう前に

とはいえ、どうしても聞く余裕がないときもありますよね。

普段はおとなしく聞いているのに、とっさに言い返せなかったことが積もり重なって、ある日ぷつんと切れてしまう。そして、相手との関係がかえって険悪になってしまう。そんな経験をお持ちの方もいるかもしれません。

こうした経験があると、次に言い返そうとしたとき、体が固まってしまうことがあります。

アメリカの総合病院クリーブランド・クリニックの解説によると、危険を感じたときの反応には「闘う」「逃げる」のほかに、体が固まって動けなくなる「フリーズ」という反応もあるとされています(What Is the Fight, Flight, Freeze or Fawn Response?|Cleveland Clinic)。

「また切れてしまったらどうしよう」という怖さが、体にブレーキをかけているのかもしれません。

だからこそ、我慢が積もってしまう前に、その日の悔しさは、その日のうちに自分で受け止めてあげることが大切なのです。

ため込んだ怒りが突然出てきてしまう方は、コントロールできない怒りの対処法の記事も参考にしてみてください。

言い返せない人に多い「恐れ回避型」という愛着のかたち

人の弱さに気づいてしまう感受性は、子どもの頃に育ってきたものかもしれません。

子どもは、とても敏感です。子どもの感受性で親の弱さに気づき、その親を守ろうとすることもあります。

反対に、何かしようとしたら、さらに親が怒ってしまい、萎縮してしまったという経験を持つ方もいます。

どちらの場合も、「相手の気持ちを先に受け止めて、自分の気持ちは後回しにする」という形が、体に残っていきやすいのです。

人と近づきたい気持ちと、近づいて傷つくのが怖い気持ち。その両方のあいだで揺れる状態は、恐れ回避型と呼ばれる愛着のかたちの方に、よく見られます。

「職場でも、身近な人にも、同じようなことが起きている」と感じた方は、不安と回避の両方で苦しむ「恐れ回避型」愛着障害の原因と治し方の記事も読んでみてください。

まとめ

言い返せない悔しさは、弱さではなく、あなたの芯がぶれていない証拠です。

引きずらないためには、どんな軽んじられ方が悔しかったのかを言葉にして、まず自分が自分を理解してあげること。「悔しくて当たり前だよね」と思えたとき、悔しさは少しずつほどけていきます。

そして、その場で言い返せないのは、相手の弱さにまで気づいてしまう、あなたの受容力があるから。その力を活かしながら、無理なく変わっていきましょう。

「とはいえ、ひとりで向き合うのは難しそう」と思われたかもしれません。

7日間の無料メールレッスンでは、セールスなしで、カウンセリングの現場でも使っているセルフワークをお届けしています。飲み込んできた気持ちに、少しずつ気づいていくための手がかりになるはずです。

→ 7日間の無料メールレッスンはこちら

言い返せなかった夜に、あなたが自分の悔しさを分かってあげられますように。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です