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目次
Tさんの平日のある一コマです
もともと過敏性腸症候群で、
お腹が痛くなったらどうしよう…
と思うだけで仕事中に心臓がバクバク。
おでこの辺りに緊張が走り
ひどい場合は吐き気がしてきます。
仕事は外回りがメイン。
すぐにかけこめるトイレの場所を
チェックしておかないと
気になって仕事になりません。
車移動で同乗者がいる場合は
お腹が痛くなるたびに停車する
罪悪感と緊張感で頭が真っ白。
昼休みを迎えるころには
グッタリしてしまいます。
まずは出来事と気持ちを確かめてもらいました
Tさんの頭のなかは
次に来る不安と過去の腹痛の思い出で
いっぱいいっぱい。
お話し中も「出来事」が中心。
困っている様子はよくわかるのですが、
淡々と事実を述べる感じで話が進みます。
そこでまずは、
不安なときの気持ちを
口に出してもらいました。
これによって、
自分の気持ちに「気づく」ステップに
入ります。
そうすると、自分を客観視できて
焦りや自己嫌悪が収まるからです。
トイレに行くこと自体、
何も恥ずかしいことではないし
実際に仕事に支障はでていません。
(むしろTさんは、お話を伺う限り
社内でとても優秀な人材です。)
なら何が不安で
何にドキドキするのだろう。
いつも感情のことまで
考える余裕がなかったTさんが、
じっくりと自分と向き合い始めます。
この緊張のときの不快感は
過去に同じようなことがあったか。
何か連想されるシーンは浮かぶか。
ゆっくりとお話をしながら
突然Tさんがひらめきます。
Tさん「あ、そういえば小学校の時、部屋にあった神棚の向きが気になって、それから頭が緊張するようになりました。」
佐々木「神棚ですか?その時の気持ちを言葉にできますか?」
Tさん「えっと・・(少し下を向きながら沈黙)」
Tさん「ちょっと恥ずかしいんですが、なぜか罰が当たるような気がして・・(照れ笑い)。そういうの信じるタイプなんです。」
佐々木「そうなんですね。不吉な予感みたいなのがあったんですね。」
Tさん「そうです。」
佐々木「その神棚の怖さって、家族に話したりしました?」
Tさん「いや、実はそれが怖いっていうのを、父には言えず、母にだけ言っていたんです。」
佐々木「お父さんには言えなかった?」
Tさん「はい(少し苦笑い)。下に妹と弟がいて、長男たるもの・・・という古いタイプの父親だったので。」
佐々木「古いタイプのお父さんですか。」
Tさん「はい、不機嫌になると黙ってしまう感じの。その分、母には何でもかんでも話さないと気が済まない気がして…」
(以下、しばらく子供時代と家族について伺いました。)
Tさんのお悩みの深い原点にあった父親像
この後、Tさんとお父さんの関係について聞いてみると、
情けない自分は出してはいけない
という強い感情があることがわかってきました。
現在の38歳の自分も、
不安がわきあがってきたとたんに
「あかん、あかん、落ち着け。」
と言い聞かせてしまうそうです。
でも、落ち着かせようとすると
さらに不安が大きくなり
頭に緊張が走って…の悪循環。
(このあたりからようやく、見えなかったTさんの感情が出始めました。)
本当は辛いこと、怖いことに対して、
幼い時から強烈に理性でストップをかけていた。
そんな自分はお父さんに認められず、
お母さんにだけ隠れて打ち明け、
弟や妹にも見せられない。
Tさんには、
家庭内に「安心」して自分を出せる場所が
ほぼ存在しなかったのです。
ここを受け止めて癒すことで
不安になる自分にオッケーを出せれば
Tさんの不安はグっと和らぎます。
子どもの頃に冒険ができる子、できない子
子どものころに
ありのままを受け入れてもらえると
新しい経験を怖がらなくなります。
失敗する自分も愛されると
確信しているからです。
この状態を自己肯定感が高いといいます。
行動に対して無意識が起こす
反発(不安)が少ない状態です。
Tさんには、怖がることを禁止され、
不安がる自分に価値を感じず、
潜在意識のなかで不安が
ずっと無視されたまま。
だから大人になって、
何かのタイミングで爆発的に
不安が押し出し、今の状態を引き起こしています。
ではTさんが自己肯定感を取り戻すには
どうしたらよいのでしょうか。
大人になっても自己肯定感は上がる
子ども時代に自己肯定感が育たないと
大人の自分はもう手遅れと思う人がいます。
大丈夫です。
自己肯定感は大人になっても育ちます。
潜在意識はいつまでたっても
子どもと同じ性質をもっているからです。
だから「落ち着け」と言い聞かせても
泣き止まない子どものように
不安を訴え続けます。
ということは、
Tさんがこの逆をできるように
練習をします。
まずは子供の話を聴いて
そのままを受け止めます。
これはカウンセラーに話し切ることで解決。
次に自分で自分を受け止める、
カウンセラーなしでも自分の気持ちと
向き合う練習をします。
この一部は記事で解説しています。
また、Tさんは感情を出すことを
禁じられて育っているので
感情を口に出す練習もしてもらいます。
そうして徐々に安心感が育ち、
小さなチャレンジと成功を繰り返すことで
自己肯定感を高めてもらいました。
効果は3週間後に現れ始めた
目に見えて効果が出始めたのは、
初回カウンセリングから3週間ほど。
実は自分が良きパパであることに気づき、
社内の評価が高いことにも気づき、
奥さんとも仲良しなことに気づき。
自己肯定感が高まった状態で
私が「例外探し」というセラピーで、
Tさんの「不安じゃない時間」を膨らませていきました。
今まで狭まっていた視野が広がり
自分のいいところに目が行くようになったのです。
カウンセリング当初は無感情な
あまり笑わなかったTさんが、
3回目のカウンセリングでは
ときどき笑顔を見せてくれるようになりました。
お腹が痛くなる「出来事」自体は、
治癒の時間がかるものです。
でもその出来事への「感情」は
不安から「平気」に書き換えることができます。
今では前もって不安になることが減り、
同僚にも「ごめん、トイレ!」と
平気でいえることで、
トイレに駆け込む回数が減ったとのこと。
もともと人当たりがよく、
仲間内でも好かれている素朴な性格が
表に出てきたのが印象的でした。
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